京都にある引接寺は「千本ゑんま堂」と呼ばれ、かつて葬送の地であった蓮台野の入り口に建ちます。御本尊の閻魔王をモチーフにしたおみくじをいただきました。
(2023-05-26 更新)
閻魔みくじ
閻魔大王ならではの赤い顔と、眉をつり上げ、にらみつける表情が特徴的です。
あごひげは長めで、口元には牙のような歯が見えています。「王」の文字が入った、金色の冠も目を引きます。
右手に持っているのは、閻魔おなじみの笏? マックポテトではありませんよね?
一方、後ろ姿はシンプルです。お寺の名前などは入っていないため、オリジナルのデザインではないようです。
素材は陶器製。おみくじの紙は赤い紐を引いて、下から取り出します。
引接寺(千本ゑんま堂)とは どんなお寺?
高野山真言宗のお寺である引接寺は、「いんじょうじ」と読みます。「引接」とは「引導」と同義語で、仏による正しい道や、悟りへの導きを意味します。
通称は千本閻魔堂(ゑんま堂)といい、御本尊に閻魔王坐像をまつります。
お堂の脇には供養池があり、周囲にはたくさんの地蔵菩薩が並んでいます。8月のお精霊迎えでは、この池に水塔婆を流し、迎え鐘をついて先祖の霊を迎えます。
毎年5月に行われる千本ゑんま堂大念仏狂言も有名。狂言の様子は狩野永徳筆「洛中洛外図屏風」にも描かれ、京都の三大念仏狂言の一つといわれています。
あの世との境に建つお寺
平安時代初期、公卿の小野篁が自ら閻魔王の姿を刻み、祠を建てたのが引接寺のはじまりといいます。
小野篁は百人一首の歌人として知られますが、閻魔庁の役人を務め、あの世とこの世を行き来していたとも伝えられています。
お寺がある場所は「蓮台野」と呼ばれる地の入り口で、かつて化野や鳥辺野とともに京都三大墓地の一つとされていました。
周囲には石仏や卒塔婆が多く並んで建てられていたそうで、これが「千本」の名の由来ともいいます。
引接寺の前の通りの名は「千本通り」、町の名は「閻魔前町」といい、お寺とともに開かれた場所であることがうかがえます。
おみくじを引くには
閻魔のおみくじは、授与所でいただけます。変わり種のおみくじは他にも扇形のものがあり、ちょっと引くのを迷いました。
また「えんま様のお目こぼし」という、おもしろい名前のかき餅もあります。参拝のお土産に、ぜひお試しください。
ほかにも引きたい 閻魔のおみくじ
京都の六道の辻にある六道珍皇寺でも、閻魔のおみくじがあります。
お寺の場所は、かつて葬送地であった鳥辺野の入り口に位置しています。閻魔王の像がまつられ、小野篁が冥土へ通うのに使ったという井戸が伝わります。
六道珍皇寺のおみくじについては、以下の記事も参考にしてください。
引接寺(千本ゑんま堂)の基本情報
所在地:京都府京都市上京区閻魔前町34
拝観時間:不明
駐車場:あり
公式サイト:http://yenmado.blogspot.com/
実際に参拝した日(2017-11-02)の情報をもとに、記事を作成しています。定期的に情報を確認し更新していますが、最新情報と異なる場合があります。