かつての京都三大墓地のひとつ、蓮台野。その入り口に建つ引接寺は「千本ゑんま堂」と呼ばれ、おみくじも閻魔大王です。
閻魔みくじ
赤い顔、眉を吊り上げて睨みつける表情は、閻魔大王ならではの様式です。口元には牙のような歯ものぞかせています。あご髭はちょっと長め。
頭の正面には「王」の文字、冠は金色に輝いています。
右手に持っているのは何かと思いましたが、閻魔大王おなじみの笏でしょうね。マックポテトではないですよ?
対照的に、後ろ姿はシンプル。お寺の名前などは入っていないので、オリジナルのものではないようです。
おみくじの紙は赤い紐を引いて、下から取り出します。素材は素焼きの陶器製です。
引接寺(千本ゑんま堂)とは どんなお寺?
北野天満宮の北東に位置する引接寺。「いんじょうじ」と読みます。
「引接」とは「引導」と同義語で、 仏による正しい道・悟りの導きのこと。本堂には閻魔王坐像を安置します。
お堂の脇には供養池があり、まわりにはたくさんの地蔵がならびます。8月のお精霊迎えでは、この池に水塔婆を流し、迎え鐘をついて先祖の霊をお迎えします。
また毎年5月には、千本ゑんま堂狂言が披露されます。狩野永徳筆の洛中洛外図屏風にも描かれている狂言で、壬生・嵯峨とあわせて「京都の三大念仏狂言」といわれます。
引接寺のはじまりと閻魔大王
平安時代初期の公卿、小野篁。百人一首の歌でも知られている人物です。閻魔庁の役人も務めていたといわれ、あの世とこの世を行き来していたという不思議な話が伝わります。
その小野篁みずからが閻魔の姿を刻み、建立した祠がゑんま堂のはじまりとされます。
お寺がある場所は、古くは蓮台野と呼ばれた地の入り口。蓮台野は化野・鳥辺野とあわせて、京都の三大墓地のひとつでした。
あたりには石仏や卒塔婆が多く並び建っていたことから、「千本」の名がついたそうです。
お寺の前の通りは「千本通り」といいます。ゑんま堂とともに、千本の名はいまも残ります。
おみくじを引くには
閻魔のおみくじは、寺務所で引くことができます。変わり種のおみくじはほかに、扇形のおみくじがあり。(いただくか、ちょっと迷いました…)
「えんま様のお目こぼし」という、おもしろい名前のかき餅もありますよ。参拝のおみやげにどうぞ。
ほかにも引きたい 閻魔のおみくじ
京都・六道の辻に建つ六道珍皇寺でも、閻魔のおみくじがあります。
六道珍皇寺のある場所は、葬送地・鳥辺野の入り口。お寺では閻魔王をまつり、小野篁が冥土へ通うのに使ったとされる井戸が伝わります。
千本ゑんま堂と同じく、小野篁とかかわりがあるのがおもしろいですね。
六道珍皇寺のおみくじについては、こちらの記事も参考にどうぞ。
基本情報
引接寺(千本ゑんま堂)
所在地:京都府京都市上京区千本通蘆山寺上ル閻魔前町34
拝観時間:不明
公式サイト:http://yenmado.blogspot.com/