大阪南部、河内長野市にある延命寺は、弘法大師創建と伝わるお寺。境内は紅葉が美しく、樹齢千年の「夕照の楓」は、大阪府の天然記念物にも指定されています。
延命寺の御朱印
通常いただける御朱印です。本堂の正面に授与所らしき場所がありましたが、人がいらっしゃらなかったので庫裡にていただきました。
延命寺の見どころ
長野公園のひとつ、もみじ公園の中心地である延命寺。寺までの道幅はせまく、車の運転には少し気をつかいます。参拝者用の駐車場はありますが、秋の紅葉の時期は混雑していた印象が。
公共の交通機関を使う場合は、南海高野線美加の台駅よりバスで神ケ丘口を下車。徒歩10分ほど歩きます。
今回は青もみじを目当てに、6月に参拝。境内はハイキング途中らしきかたがちらほらと。さほど人はいなかったので、ゆっくりとおまいりすることができました。
弘法大師建立のお寺
延命寺のはじまりは平安時代。弘法大師みずからが刻んだ地蔵菩薩を本尊とされたと伝わります。
その後、江戸時代にこの地に生まれた浄厳和尚によって中興。ご本尊も如意輪観音に改められ「薬樹山延命寺」と号されました。古来からこの地は薬草が多くあったこと、和尚の父に医術の心得があり、よく病を治されたことの感謝の念からともいわれます。
山門の正面です。石碑には「浄厳和尚誕生之地」とあります。
紅葉が美しいとの評判通り、カエデの木が大きく広がり、気持ちの良い空気です。門前だけで心が洗われるよう、すがすがしい気分になりますね。
寺の外壁、白い壁にも緑と苔がよく映えます。
山門をくぐり、まっすぐ先に見えるお堂が本堂…と思いきや、毘沙門堂でした。
まつられる毘沙門天は、金剛山多聞堂より移されたもの。楠木正成公の念持仏と伝えられます。兜や甲冑が大きく、堂々とした雰囲気のある仏像です。
毘沙門天にむかって左手側には愛染明王、右手側には不動明王を安置します。お堂内、間近におまいりできるのが仏像好きにはうれしいです。
毘沙門天に吸い込まれるように、先に毘沙門堂に入ってしまいました。あらためて、本堂におまいりします。
場所は、毘沙門堂の左手です。こちらはお堂の外よりの参拝になります。
屋根には野鳥のキセキレイ。縄張りなのでしょうか、尾を振り、良い声で鳴いています。キセキレイは山辺の水がきれいなところにいる印象があります。きっと延命寺は居心地のいい場所なんでしょう。
次は本堂とむかいあう、毘沙門堂より右手のお堂に参拝します。
少し石段を上った場所にあるのが地蔵堂です。こちらが弘法大師御自作と伝わる地蔵尊。現在は「北向き地蔵」という名で呼ばれます。
境内は、アジサイやサツキなどの花も美しく手入れされています。以前は秋の紅葉の時期に参拝しましたが、季節が変わるとまた雰囲気が違いますね。
夕日に映える 夕照の楓
山門より右手の高台にあるのが、弘法大師お手植えと伝わる夕照の楓です。
このときは夕刻には早い時間でしたが、日に照らされて葉の緑がきらきらと。高さも広がりもある枝ぶりが見事です。
上のほうばかりを見てしまいますが、その根元にも注目です。樹齢千年ともいわれる古木の年月を感じる根張り。その大きさは東西13メートル、南北に17メートルもなるそう。
この堂々とした木をどう写真におさめるか、しばらく周りで四苦八苦…。いやいや、わたしの腕では到底無理でした! ぜひ現地でその大きさを感じてください。
もみじ山と石仏
最後に紅葉の山をめぐります。
夕照の楓につながる、高台一帯に広がるのがもみじ山です。二つの池の周りを、楓の木が囲みます。
水辺をまわる遊歩道には、西国三十三所の観音石仏を勧請。ぐるっと散策しながら、おまいりもできるのがいい。池と紅葉と石仏、さまざまな角度で楽しめます。
この組み合わせが好きで、前回訪れたときもたくさん写真を撮りました。
お気に入りの上の写真は、サイトの紹介写真にも使っていたり。今回も同じ構図で撮影するつもりでしたが、どの場所で撮ったのか思い出せず…。うろうろしているうちに、足がつっちゃいました。
前回来たときより、記憶力も集中力も体力も落ちている気がします。石仏にも「しっかりしなさいよ」と笑われていますね。
夏になると、池には蓮の花が咲くそうです。こちらも、季節ごとに違いが楽しめますね。また時期を変えて訪れたいと思います。
あわせて行きたい 近くの寺社めぐり
延命寺の北には、国宝・如意輪観音が御本尊の観心寺があります。楠木正成公ゆかりのお寺で、境内には楠公の首塚もまつられています。
延命寺からは車で10分ほどの距離。徒歩30分ほどのハイキングコースもありますので、ゆっくり歩いて行かれるのもおすすめです。
延命寺→観心寺
基本情報
薬樹山 延命寺
所在地:大阪府河内長野市神ガ丘492
拝観時間:9:00~17:00
公式サイト:なし