畝傍山のふもとに鎮座する橿原神宮。おみくじの金鵄(きんし)と鮎は、御祭神・神武天皇とゆかりのある縁起の良い授与品です。
金鵄みくじと鮎みくじ
右が金鵄、左が鮎のおみくじです。大きさに違いがあり、鮎みくじのほうが少しふっくらと大ぶり。どちらも陶器製、置物型のおみくじです。
「金鵄」とは金色のトビ(とんび)のこと。おみくじの色も美しい金色です。
おなかの緑の葉っぱは、橿原神宮の社紋である橿(かし)の葉ですね。
頭の後ろ側が少しとんがっており、特徴あります。全体的な形は少し下ぶくれ。
鳥はおみくじのなかではよく見かけるモチーフですが、金鵄みくじはほかに見たことがありません。
おみくじの紙は赤い紐とつながっており、下から取り出します。
鮎のほうのおみくじ紙は、口から取り出します。赤い紐を引っ張ると、なんだか釣られたようにも見えますね。こちらは銀色がきらきらと光ります。正面から見てもキュート。
魚モチーフのおみくじでは鮎はあまりなく、鯛がいちばん多い印象があります。
色違いではなく、オリジナルでまったく違う生物の置物みくじを置いているのもめずらしいかも。
橿原神宮とは どんな神社?
御祭神は神武天皇と、皇后の媛蹈鞴五十鈴媛命(ひめたたらいすずひめのみこと)。
『日本書紀』によると、この地は神武天皇が橿原宮を創建、第一代目の天皇として即位したところといいます。民間有志による神宮創建の請願を受けて、明治二十三年(1890)に官幣大社として創建されました。
畝傍山東麓の南側に鎮座する橿原神宮。北側には神武天皇の御陵もあり、皇族の方々も節目ごとに拝礼に訪れる場所です。
毎年初詣はたいへんな人出で、奈良県では春日大社に次ぐ数多くの参詣者でにぎわいます。
神武天皇と金鵄・鮎
日本神話によると、神武天皇は九州・日向(ひむか)の国から東征されました。大和の豪族との戦いで苦戦を強いられていたとき、とつぜん黄金の鵄があらわれ、天皇の弓の先に止まりました。鵄の放つまばゆい光によって敵は倒され、天皇は勝利を収めたと伝わります。
このことから、金鵄はめでたいことの前兆とされる鳥・瑞鳥とされています。
もうひとつのおみくじ、鮎は戦の勝敗を占うのに使われたといいます。鮎という字は「魚」と「占」であらわされているように、占いと深い関わりのある生物であったようです。ある意味、おみくじにぴったりのモチーフですね。
橿原神宮では、毎年5月に初鮎奉献祭の行事があります。岐阜県・長良川の鵜飼い開きで獲れた初鮎が皇室に献上され、橿原神宮にも奉納されるとのこと。現在も深い縁のある生き物です。
おみくじを引くには
金鵄みくじ・鮎みくじは、外拝殿にある授与所で引くことができます。初穂料はそれぞれひとつ500円になります。
実はわたし、先に参拝したときは金鵄みくじが品切れでした。橿原神宮だけでなく、寺社全般に通じることですが、おみくじはいちばん需要のある年始にあわせて入荷されることが多いです。タイミングによって、引くことができないときもあるのでご注意ください。
ほかにも引きたい 鮎のおみくじ
愛知県犬山市、犬山城下にある針綱神社にも鮎みくじがあります。こちらは木曽川の鵜飼時期にあわせて、6/1~10/15の期間限定となっています。
おみくじは張り子製。備え付けの棒を使って鮎みくじを吊り上げ、引きます。形がかわいらしいだけでなく、釣りの要素も入っているところがおもしろいですね。
橿原神宮のある奈良県とは離れていますが、機会ありましたらこちらのおみくじもどうぞ。
基本情報
橿原神宮
所在地:奈良県橿原市久米町934
拝観時間:6:00~18:00(御祈祷・その他受付:9:00〜16:00)
公式サイト:http://www.kashiharajingu.or.jp/