京都六道の辻にある西福寺。弘法大師御自作とされる地蔵尊や、檀林皇后の九相図などが伝えられています。古くはこの地は風葬地・鳥辺野の入口、現世と冥界の境目ともいえる場所でした。
西福寺の御朱印
御朱印は書き置き。墨書きは印刷ですが、参拝日を書き入れていただきました。
西福寺の見どころ
西福寺は正式には桂光山敬信院といい、浄土宗の寺院です。六波羅蜜寺のある通りの北側の角に「六道の辻」の標石があり、お寺の入り口はそのすぐ横になります。
境内は小さくまとまっており、本堂は門を入ってすぐ右手にあります。
御本尊は阿弥陀如来。わたしが訪れたときは障子戸が薄く開き、仏間が少しだけ拝観できる状態でした。外から手をあわせて参拝します。
見上げると、お堂の右上に扁額が奉納されています。なんとなく味わいある絵柄の額もあり、目をひきますね。
子供の成長を守る 子育地蔵尊
その絵額や境内にある由来記によると、嵯峨天皇の御代に弘法大師が地蔵堂を建立。みずから作った秘仏の地蔵尊を安置されたのがお寺のはじまりとのこと。
お后の檀林皇后もしばしば御参詣、また皇子の正良親王が病のときに平癒祈願をされ、無事に成長されたことから子育地蔵尊と呼ばれるようになったそうです。
地蔵堂は本堂のすぐ向かい側。こちらはほかにも不動明王や観音像などが並んでおり、限られたスペースの境内にぎゅぎゅっとつまって据え置かれている印象です。
檀林皇后の九相図
西福寺に伝わる文化財のひとつに檀林皇后の九相図があります。ふだんは非公開ですが、過去には時期を決めて公開されたときもあったようです。
九相図とは、屋外に捨てられた死体が腐り朽ちていくさまを、九段階にわけて描いた仏教絵画。
世の中は移り変わる、美しさも時が経てば醜いものになる…そんなこの世の無常を説いているといいます。
現存する九相図は少なく、なかなか目にする機会はないのですが、九州国立博物館所蔵の画像が公開されていましたのでご参考までに。
『九相図巻』 出典:ColBase
きれいに着飾った女性が、次の場面で亡くなって捨てられ、身体が腐ってふくれて…。と、先が見たいようなためらうような、複雑な気持ちになりますね。
檀林皇后はとても美しく信心深いひとで、実際に自身の遺体を打ち捨てさせて九相図を描かせたと伝わります。
また公開の機会があれば、西福寺の九相図もぜひ観てみたいものです。
あわせて行きたい 近くの寺社めぐり
西福寺のすぐ南側には六波羅蜜寺、また六道珍皇寺や建仁寺、安井金比羅宮などの寺社も近い場所です。
御朱印もいただけますので、どうぞあわせてご参拝ください。
基本情報
桂光山 敬信院 西福寺
所在地:京都府京都市東山区松原通大和大路東入ル二丁目轆轤町81
拝観時間:不明
公式サイト:なし