京都・六道の辻にある西福寺。弘法大師御自作とされる地蔵尊、檀林皇后の九相図などが伝えられています。古くは風葬地・鳥辺野の入口にあたり、現世と冥界の境目ともいえる場所でした。
(2022-08-30 更新)
西福寺の御朱印
御朱印は書き置き。墨書きは印刷です。
参拝日は書き入れてくださいます。
西福寺とは どんなお寺?
西福寺は正式には桂光山敬信院といい、浄土宗の寺院です。
六波羅蜜寺の建つ通りの北側の角に、「六道の辻」の標石があります。お寺の入り口はそのすぐ横。境内は小さくまとまっており、門を入って右手側の建物が本堂です。
まつられる御本尊は阿弥陀如来坐像。
わたしが訪れたときは障子戸が薄く開き、仏間が少しだけ拝観できる状態でした。堂外から手をあわせて参拝。
見上げると、お堂の上には扁額が奉納されています。なんとも味わいある絵柄の額、目をひきますね。
子供の成長を守る 子育地蔵尊
その絵額に記された内容と由来記によると、嵯峨天皇の御代に弘法大師が地蔵堂を建立。みずから作った地蔵尊を安置されたのが、お寺のはじまりとのこと。
お后の檀林皇后もしばしば御参詣、また皇子の正良親王が病のときに平癒祈願され、無事に成長されたことから子育地蔵尊と呼ばれるようになったそうです。
地蔵堂は本堂のお向かい側に。こちらには不動明王や観音像なども安置。
小さなお堂にはさまざまなお地蔵様がぎゅぎゅっと集められ、おまつりされています。
檀林皇后の九相図
西福寺に伝わるもののひとつに檀林皇后の九相図があります。
九相図とは、屋外に捨てられた死体が腐り朽ちていくさまを、九段階にわけて描いた仏教絵画。
世の中は移り変わる、美しさも時がたてば醜いものになる…そんなこの世の無常を説いているといいます。
現存する九相図は少なく、なかなか目にする機会はありません。九州国立博物館所蔵の画像が公開されていましたので、一部分をご参考までに。
『九相図巻』 出典:ColBase
きれいに着飾った女性が、次の場面で亡くなって捨てられ、身体が腐ってふくれて…と、先が見たいようなためらうような、複雑な気持ちになりますね。
檀林皇后はとても美しく、信心深い人物であったそう。九相図は、実際に自身の遺体を打ち捨てさせて描かせたと伝わります。
西福寺の九相図は通常見ることができませんが、過去には特別公開があった模様。
また機会があれば見てみたい…と思っていたところ、お盆のお精霊迎えのときに公開されているとの情報が。
新型ウイルスの影響もあって確実ではありませんが、タイミングがあえば一度行ってみようと思います。
九相図の入門書として良さそうです。
西福寺のお精霊迎え
2022年のお精霊迎えの時期に、ふたたびおまいりしました。
門前にあった掲示です。
感染予防のため、お堂には上がれないとのこと。掛軸などの展示もないのですね~、残念。
盂蘭盆(うらぼん)に先祖の霊・お精霊さんをお迎えするために撞くのが「迎え鐘」です。
迎え鐘は六道珍皇寺が有名ですが、こちら西福寺にも小さな鐘が。
本堂には上がれませんが、障子戸は開け放たれています。以前はのぞき見するように参拝した御本尊、今回はオープンにおまいりです。
仏像以外は撮影許可いただきましたので、カラフルなお花が描かれた天井をパチリと。正面に掲げられた扁額は御朱印の文字と同じものと、お寺のかたに教えていただきました。
九相図もまた拝見できる機会があればいいですね。
あわせて行きたい 近くの寺社めぐり
西福寺のすぐ南側には六波羅蜜寺があります。
また周辺は六道珍皇寺・建仁寺・安井金比羅宮など、多くの寺社が建つ場所です。御朱印もいただけますので、機会ありましたらあわせてどうぞ。
基本情報
桂光山 敬信院 西福寺
所在地:京都府京都市東山区松原通大和大路東入ル2丁目轆轤町81
拝観時間:不明
公式サイト:なし