泉涌寺の塔頭・悲田院には、快慶作の宝冠阿弥陀如来坐像が客仏としてまつられます。特別公開の時期にあわせて、参拝しました。
(2022-2-6 更新)
悲田院でいただける御朱印
阿弥陀如来の御朱印
御本尊・阿弥陀如来の御朱印です。
特別公開時にうかがったときはご住職がお留守で、書置きでいただきました。
毘沙門天の御朱印
後日、通常時に参拝していただいた、毘沙門天の御朱印です。
御朱印窓口は毘沙門堂の右手にあります。インターホンを鳴らしてお願いしたところ、直書きで対応していただけました。
悲田院の見どころ
10月のある日、京都非公開文化財特別公開にあわせて、東山区周辺を参拝しました。
東福寺や泉涌寺をはじめ、さまざまな寺宝が公開される今回の企画。見仏好きのわたしがいちばん楽しみにしていたのが、悲田院です。
こちらでは、快慶作の宝冠阿弥陀如来坐像にお目にかかれるとのこと。
◆京都非公開文化財特別公開~悲田院
— 朝日新聞社 寺社文化財みらいセンター (@asahi_jisha) October 15, 2020
本日から公開。
御朱印を求める人々が間隔を取って並ばれていました。
快慶作・宝冠阿弥陀如来坐像、土佐光起・光成親子筆の襖絵など。京都タワーと愛宕山の眺望も。~11/1(日)まで
↓取材動画もぜひ↓https://t.co/wZySGBaTMl#kyoto #特別公開 #文化財 #京都 pic.twitter.com/vqIw5FPAAc
上記のツイートと動画がよくまとまっていて、これを見ていただいたらもうわたしが書くことないんじゃ…と思いつつ、よろしければおつきあいください。
悲田院のはじまり
悲田院は真言宗泉涌寺派の寺院。泉涌寺の数ある塔頭のひとつです。
「悲田院」とは、身寄りのない老人や子供・貧しいひとを集めた福祉施設のこと。聖徳太子が造られたのがはじまりといいます。
こちらの悲田院はその名前を受け継ぎ、延慶元年(1308)に無人如導によって安居院(上京区)に創建されました。
のちの室町時代に後花園天皇により、勅願寺となりました。天皇崩御の際には、悲田院で葬儀や荼毘が行なわれたそうです。
現在の場所には正保三年(1646)高槻城主・永井直清によって移され、再興。寺には直清の像も伝わり、永井家とは深いかかわりがあったことがうかがえます。
高槻にある野見神社境内には、永井直清をまつる神社があります。以下の記事も、参考にどうぞ。
泉山七福神めぐり・毘沙門天
泉涌寺とその塔頭に参拝するには、JR・京阪の東福寺駅より東へ歩きます。住宅街に囲まれたゆるい坂道を上ると、10分ほどで御寺・泉涌寺の総門。
門をくぐると空気は一転、木々が生い茂り、心地よい雰囲気の参道です。
総門より並ぶのは即成院、法音院、戒光寺、新善光寺、今熊野観音寺。そのまま進めば泉涌寺の大門ですが、悲田院へは右手側の小道を入ります。ほどなく、赤い門が見えてきました。
境内は見晴らしよく、京都の町が一望できます。よく見ると、京都タワーも確認できますね。
悲田院の建物正面にまつられるのは、泉山七福神・毘沙門天です。
除災招福のご利益があり、毎日おまいりされるかたもいらっしゃるとか。
内部は通常非公開。特別公開時はここからお堂にあがり、参拝料を納めました。
まずは毘沙門天、続いて奥に進み、御本尊に参拝しましょう。
快慶作・宝冠阿弥陀如来坐像
本堂の仏殿中央、御本尊・阿弥陀如来像をまつります。
むかって左側には、もうひとつの阿弥陀如来像が。こちらは印を結ぶ手が逆になっている、逆手の阿弥陀様です。
右手を下げ、左手を上げる来迎印。あまり例を見ないかたちとのことで、わたしもはじめて拝見しました。が、少し遠く、確認しづらいのが残念。
さて、御本尊のむかって右側の端にいらっしゃるのが、お目当ての宝冠阿弥陀如来です。
(堂内は撮影禁止でしたので、表の看板の写真をご紹介)
高く結い上げた髻に、金の宝冠。すっと通った眉と鼻筋に半眼の目。両肩に袈裟をまとい、ゆったりと広がる衣文から出した手は、定印を結びます。背の高い台座、光背も大きく、赤と金の色があざやかです。
仏殿の端に安置されますが、たいへん存在感あります。なんといいますか、高貴オーラがすごい。
最初は「もっと近づきたい!」と思っていましたが、だんだんと「このあたりで十分でございます」的な気持ちになってきました。
仏像のほか、お堂を仕切る襖絵も見どころのひとつです。絵柄は松に手の長い猿、竹に鶴、中国の言い伝えを表したものも。これらは土佐光起・光成親子、橋本関雪によって描かれました。
襖絵は場所によっては、すぐ目の前で鑑賞できるのがうれしい。熱心に見ておられるかたもいらっしゃいました。
悲田院は大きなお寺ではありません。しかし見ごたえのある寺宝に、充実感がありました。
特別公開は不定期のようですが、タイミングあいましたらぜひおまいりください。
あわせて行きたい 近くの寺社めぐり
悲田院の東には泉涌寺、周辺には塔頭寺院がならびます。このあと、わたしは駅に戻るルートで塔頭を参拝。御朱印もいただきました。
後日、また記事をアップしますね。
基本情報
悲田院
所在地:京都府京都市東山区泉涌寺山内町27
拝観時間:不明
公式サイト:https://www.mitera.org/(泉涌寺)