大阪府茨木市にある総持寺は、西国観音霊場第二十二番の札所。寺の創建には亀の縁起が伝わり、御本尊の千手観音も亀の背に立ちます。
総持寺でいただける御朱印
本堂にむかって右側の建物にある、納経所でいただきました。
西国三十三所の御朱印
通常受けられる御朱印です。左上には特別印が押印されています。
西国三十三所・御詠歌の御朱印(復刻御朱印)
江戸時代の御朱印を復刻再現されたもの。墨書きは通常のものでも御詠歌にもできるとのことで、御詠歌にしていただきました。
特別印・復刻御朱印は西国三十三所草創1300年記念事業のひとつ。特別印は全部のお寺で、復刻御朱印は総持寺のほかに壷阪寺・岡寺・長谷寺・興福寺南円堂・穴太寺でもそれぞれいただけます。
記念事業は2022年3月31日まで延長になりましたので、この日までは特別印・復刻御朱印、どちらの印もいただけると思います。
総持寺の見どころ
総持寺までは最寄り駅の阪急総持寺駅より、歩いておまいりしました。JR総持寺駅からも近く、どちらも歩いて5分ほどの距離です。
有料ですが駐車場もありますので、車でも参拝しやすいお寺です。
総持寺縁起 亀の恩返し
高野山真言宗の寺院である総持寺。平安時代、中納言藤原山蔭卿によって開かれました。そのはじまりには不思議な話が伝わっています。
山蔭卿がまだ幼いころ、父・高房卿とともに太宰府へ向かうために淀川を船で下っていました。途中、大亀が漁師たちに捕らえられているところに出会います。日ごろ、観音菩薩を信仰されていた高房卿は、縁日の18日でもあったことから亀の命を救い、河に放されました。
明くる日、継母のたくらみによって、山蔭卿は船から河へ落とされてしまいます。高房卿は嘆き悲しみ、観音菩薩に祈ったところ、息子・山蔭卿は助けた大亀の背に乗せられ、浮かび上がってきました。
この観音様のご恩に報いるために、建立されたのが総持寺のはじまりと伝わります。
『観音霊験記』出典:国立国会図書館ウェブサイト
御朱印にある特別印、亀の背に乗る童子の姿は、この説話がもとになっているのですね。
火伏・厄除けの観音様
山門をくぐると、本堂が見えてきます。入母屋造、本瓦葺のお堂です。
伽藍は織田信長の戦乱によって焼失しましたが、慶長年間に豊臣秀頼の命を受けた茨木城主・片桐且元によって再建されました。現在のお堂はこれをもとに改築を重ねたものといいます。
参拝したときは天皇陛下御即位記念ということで、御本尊の御開扉がありました。ふだんは秘仏の観音様ですが、年に一度の毎年4/15~21日にも御開扉されています。
本堂に上がり、拝観料を納め参拝します。
御本尊は千手観音菩薩。平安時代の作で、大きさは75センチほど。それほど大きくはありません。御前立の観音様より、素朴なお顔立ちをされているのが印象的です。肩はしっかりと張った形。下半身は焼けて黒く炭化していますが、亀の上に立ち、衣文もよくわかります。
御本尊は兵火による災難からも焼け残ったことから「火伏観音」「厄除観音」として信仰されています。
脇時には右に善女龍王、左に雨宝童子。こちらは桃山~江戸時代の作で、亀とともに彩色があざやかです。
亀の恩返しの縁起には続きがあります。父・高房卿が亡くなったあと、山蔭卿は御本尊を造る仏師を探すために奈良の長谷寺にこもり、祈願されました。すると観音様のお告げにより、童子の姿をした仏師があらわれました。この童子は長谷の観音菩薩の化身と伝わることから、長谷寺と同じ様式の三尊になっていると伝わります。
長谷寺の御本尊はとても大きな観音様なので、違いがまたおもしろいですね。
庖丁道の祖をまつる開山堂
開基の藤原山蔭卿は光孝天皇の命により、宮中料理の諸作法を整え「四条流庖丁道」という料理の流派を作られた人物でもあります。
総持寺縁起では、童子の姿をした仏師(長谷の観音菩薩)が「仏像を彫刻している千日のあいだ、食事を山蔭卿みずから作ること」と命じられ、毎日違う料理を供えられたと伝わります。
境内にある開山堂は庖丁式殿ともいい、山蔭卿の像をまつります。また毎年4月18日には山蔭流庖丁式を奉納。素材の魚に手を触れることなく、長い真魚箸を使った庖丁さばきを披露されます。
総持寺ではほかにも大師堂(護摩堂)、金堂(薬師堂)、宝蔵、鎮守社など、さまざまなお堂が並び建ちます。茨木市の有形文化財に指定されている建物も多く、簡単な説明の入った案内板もあるので、はじめてでもわかりやすく参拝することができました。
池にはたくさんも亀もいました。しばしのんびりと、わたしもひなたぼっこ…。
あわせて行きたい 近くの寺社めぐり
総持寺より北へ徒歩10分ほどの場所には、疣水磯良(いぼみずいそら)神社があります。境内にある「玉の井」の御神水は疣はもちろん、あらゆる病に効くと伝わります。御朱印も受けられますので、あわせて参拝されてはいかがでしょうか。
基本情報
補陀洛山 総持寺
所在地:大阪府茨木市総持寺1-6-1
拝観時間:6:00~17:00(納経受付時間8:00~)
公式サイト:http://sojiji.or.jp/