日本三庚申のひとつとされる京都・八坂庚申堂。近年はカラフルなくくり猿を背景にした写真が、SNS映えすると人気。多くの参拝者でにぎわうようになりました。
(2022-10-07 更新)
八坂庚申堂の御朱印
まるっこい三猿の印、のびのびとした墨書き。シンプルながら、お寺ならではの特徴がありますね。
八坂庚申堂とは どんなお寺?
「八坂庚申堂」は正式には金剛寺という名の、天台宗のお寺です。
最寄り駅は京阪清水五条駅、祇園四条駅、どちらからでも歩いて15分ほど。八坂通りから東へ行くと、東山を代表するシンボル・八坂の塔が見え、京都らしい風景が広がります。
人気の場所だけあって、いつ訪れても観光客でいっぱい。色鮮やかな着物姿の女子も多く、境内はたいへんなにぎわいです。
朱塗りの門をくぐると、人気のくくり猿がすぐ目の前に。
まっすぐそちらに行きたくなりますが…
「まず本堂へお参り その後 写真撮影自由」
門前や境内にある注意書きのとおり、はじめは本堂に参拝しましょう。
庚申信仰のお寺
八坂庚申堂の御本尊は青面金剛(しょうめんこんごう)。飛鳥時代に渡来した秦河勝により、秦氏の守り本尊としてまつられていました。
平安時代に入り「一般の人々にもおまいりできるように」と、天台宗の僧・浄蔵貴所が八坂の地に庚申堂を建立。日本における庚申信仰発祥の地として、信仰を集めました。
庚申信仰とは中国の道教に由来するもので、日本の習俗や仏教などとまじりあい発展した民間信仰。江戸時代がもっとも盛んであったそうです。
八坂庚申堂は「大阪の四天王寺庚申堂」、「東京の入谷庚申堂」とあわせて、日本三庚申のひとつとされます。
御本尊は病気平癒・健康長寿などのご利益があります。通常は堂外からのおまいりで、お姿を拝することはできず。
かわりにくくり猿と、「見ざる聞かざる言わざる」の三猿がむかえてくれます。ちょっと塗装がはげていますが、ご愛嬌…
猿は魔よけの神使いとされる神社もありますが、庚申信仰とも関係が深い動物です。庚申の「申」の字が「さる」と読めることからつながったともいわれます。
境内にはところどころに猿がかくれています。おまいりのあとに、さがしてみてくださいね。
欲望の戒め くくり猿
本堂の両脇には、名物のくくり猿がまとまってさげられます。カラフルな色は境内全体に広がり、そのボリュームに圧倒…!
ボールのような形ですが、よく見ると小さな頭と手足があります。手足をまるめて、ひとつにくくられているのですね。
じつはこの形、猿が手足をくくられて動けない姿をあらわしています。「欲望のままに行動しないように」ということを、自由を封じた猿の姿になぞらえているそう。
そんな由来を知ってしまうと、くくられている姿はなんだかつらそう…? いやいや、こんなにたくさんの欲望が戒められているということですよね!
https://t.co/UwCw6uXPQL
— 毎日新聞写真部 (@mainichiphoto) September 20, 2016
【驚都・きょうと】欲封じ、願いかなえる「くくり猿」。京都・東山区の八坂庚申堂での光景です。 pic.twitter.com/Hb8fTkHzRq
新しいくくり猿は、本堂にむかって左手側にある授与所で受けられます。ひとつひとつ手作りで、体内には御本尊のお札が収められているそう。
願掛けのやりかたは簡単。くくり猿の背に願いごとを直接書き、あいているところに自分でくくりつけて奉納します。
願いをかなえるためには欲をひとつ我慢することが大事だそうですよ。ぜひ気に入った猿を選んで、願いをかけてみてください。
授与所では御朱印のほか、お守りなどの授与品もいただけます。
小さなくくり猿や、猿をかたどったお守り、土鈴なども。どれもかわいいですね。
おまいりが済みましたら、写真撮影は自由にできます。信仰あるお寺の境内ですので、どうぞマナーは守って楽しんでください。
あわせて行きたい 近くの寺社めぐり
八坂庚申堂から坂をあがってすぐの場所に、五重塔があります。京都東山のシンボルとして有名な八坂の塔・法観寺です。
お寺の開門は、不定期。タイミングがあえば中に入って拝観でき、御朱印もいただけます。
八坂の塔については、こちらの記事もどうぞご参考に。
基本情報
大黒山 金剛寺 庚申堂 (八坂庚申堂)
所在地:京都府京都市東山区金園町390
拝観時間:9:00〜17:00
公式サイト:http://www.yasakakousinndou.sakura.ne.jp/