地蔵信仰のお寺として栄えた、奈良の十輪院。とてもめずらしい石仏龕を拝観しました。
(2024-07-11 更新)
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十輪院の御朱印
地蔵菩薩の御朱印
御本尊の御朱印です。
左上の「三ツ葉葵紋」は、徳川家の寄進により再興したことに由来。冬の奈良大和路キャンペーン期間限定の特別印でした。
不動明王の御朱印
以前いただいた、一願不動尊の御朱印です。
先日参拝したときは見本になく、現在もいただけるかは不明。受付で確認してからお願いしてみてくださいね。
授与所の情報
本堂向かって左に回り込むように石畳を進むと、受付窓口があります。参拝時は拝観受付とともに御朱印帳を預けると、のちほど本堂まで届けてくださいました。
十輪院とは どんなお寺?
御本尊:地蔵菩薩
十輪院は真言宗醍醐派の寺院で、山号は雨宝山。
元正天皇の勅願により、吉備真備の長男・朝野宿禰魚養(あさのすくねなかい)が建立したと伝わります。
以前は元興寺の子院のひとつで、地蔵尊のお寺として古くから信仰されてきました。
かつて荒廃のときもありましたが、徳川家康により寺領を与えられて再興しました。
ここが良き! 十輪院のおすすめの見どころ
本堂は鎌倉時代前期に建てられたもので、国宝に指定されます。
貴族の邸宅のような雰囲気のある建物で、正面の柱などは当時のものがそのまま使われているそう。
境内への入り口となっている切妻造四脚門の南門も、鎌倉時代のもので重要文化財です。写真撮り忘れた…
信仰が伝わる地蔵菩薩
本堂には御本尊を納める厨子のように石仏龕(がん)が組まれ、地蔵菩薩立像がまつられています。
像は石造りで平安時代の作と伝わり、切れ長の目と丸いお顔、鼻が優しい印象を与えます。右手のひらはこちらに向けて下げられ、錫杖を持たない古い形のお地蔵様です。
地蔵菩薩を中心に、左の柱に釈迦如来、右には弥勒菩薩が浮き彫りにされています。あまり見ないかたちの三尊形式です。
龕には仁王や聖観音、不動明王、十王や四天王などの姿も見られ、彩色された跡もかすかに残ります。上方には大きな石がかぶせられ、北斗七星や九曜の梵字が彫られています。
重厚かつ細やかな手の入った石仏龕は、重要文化財に指定。
お寺のかたの話によると、まず御本尊がまつられ、拝むための礼堂がつくられました。のちに御本尊を守るように龕が建てられ、本堂を広げられて現在の形になったといいます。
また石仏龕の前には、黒く平たい「引導石」が置かれています。昔はこの上に棺を置いて、葬儀が行われていたとのこと。
現在も骨壺を置いて法要することもあるそうで、地蔵菩薩への信仰がいまも続いているのを感じます。
本堂内そのほかにも仏像や解体修理時に発見された出土品を陳列。小さな誕生釈迦仏、あまり目にすることがない歓喜天の像、アフロ仏こと五劫思惟阿弥陀仏像もいらっしゃいました。
石造りが魅せる庭園、御縁日には一願不動尊も
境内は池を中心にお庭があり、季節によって蓮の花や紅葉が楽しめます。
不動明王をはじめ、鎌倉時代の石造りが多く見られるのも良き。
建物内に安置されている曼荼羅石は、興福寺の諸仏と五重塔を刻み、石造物として残っている唯一のものだそう。
本堂の右手奥には御影堂、朝野宿禰魚養の墓と伝わる横穴式石室の魚養塚があります。
入り口すぐ左にあるのは護摩堂。一願成就の不動明王立像と二童子像がまつられます。
像は智証大師円珍の作とされますが、平安時代の仏像で、重要文化財に指定されています。通常は拝観できませんが、不動明王御縁日の毎月28日には護摩祈祷が行われ、おまいりできるとのこと。
参拝日はたまたま法要があったそうで、扉が開いていました。巻髪、鳥のような炎の光背が特徴的な像です。
ちょうど2023年の仏像ミニカレンダー10月に掲載。
十輪院、良い御縁がありました!
あわせて行きたい 近くの寺社めぐり
十輪院の西には、足止め狛犬のある御霊神社が鎮座します。
また東向商店街の南都銀行本店前にあるみんなのお寺は、十輪院のお寺です。
御本尊に阿弥陀如来坐像を安置。
ビルの2階にあるので、はじめて入るときは緊張しましたが、御朱印もいただけます。
あわせて、なーむくん記念印も。
一時期せんとくんのライバル的な存在でしたが、元気にやっているのでしょうか…
みたいなゆるい世間話でも、ご住職がやさしく対応してくださいますので、気軽におまいりされてはいかがでしょうか。
写経や瞑想できるスペースもありますよ。
十輪院の基本情報
所在地:奈良県奈良市十輪院町27
拝観時間:9:00~16:30 ※毎週月曜(祝日の場合は翌火曜)は閉門
お盆期間など、時期により拝観できない場合もあります。くわしくは公式サイトにてご確認ください
拝観料:500円
駐車場:あり
公式サイト:https://www.jurin-in.com
実際に参拝した日(2023-02-04)の情報をもとに、記事を作成しています。定期的に情報を確認し更新していますが、最新情報と異なる場合があります。