地蔵信仰のお寺として栄えた、ならまちの十輪院。とてもめずらしい石仏龕を拝観しました。
十輪院の御朱印
地蔵菩薩の御朱印
御本尊の御朱印です。
左上の特別印「三ツ葉葵紋」は、徳川家の寄進により再興したことに由来。冬の奈良大和路キャンペーン期間のみ入れていただけます(2022年12/1~2023年2/28まで)
不動明王の御朱印
以前参拝したときにいただいた、一願不動尊の御朱印です。
先日おまいりしたときは御朱印案内になかったので、いただきたいかたは念のため受付で聞いてみてくださいね。
十輪院とは どんなお寺?
十輪院は元正天皇の勅願で、吉備真備の長男・朝野宿禰魚養(あさのすくねなかい)の開基と伝わります。
かつては元興寺の子院のひとつとのことですが、現在は真言宗醍醐派の寺院です。
南門から入ると、すぐ正面に本堂があります。鎌倉時代に建てられたもので、国宝指定。
屋根が低いからか、お寺というよりは貴族の邸宅のような雰囲気があります。正面の柱などは、当時のものがそのまま使われているそう。
ちなみに写真を撮り忘れていますが、南門も鎌倉時代のもので重要文化財です。
本堂にむかって左に回り込むように石畳を進むと、拝観受付の窓口があり。拝観料は大人500円です。
御朱印もあわせてお願いすると、後ほど本堂まで帳面を届けてくださいました。
地蔵信仰のお寺
十輪院の御本尊は、石造りの地蔵菩薩立像です。
切れ長の目、丸いお顔と鼻が優し気。平安時代の作と伝わりますが、しっかりと衣文なども見られます。右手のひらはこちらにむけて下げられ、錫杖を持たない古い形のお地蔵様です。
御本尊を納める厨子のような石造物が、石仏龕(がん)。地蔵菩薩を中心に、むかって左の柱に釈迦如来、右に弥勒菩薩が浮き彫りに。あまり見ないかたちの三尊形式です。
その前には仁王、聖観音、不動明王、十王や四天王などの姿が。彩色された跡も、かすかに残ります。
上方には大きな石がかぶせられ、北斗七星や九曜の梵字が彫られています。重厚かつ細やかな手の入った石仏龕は、重要文化財指定です。
お寺のかたの話によると、まず御本尊があり、次に拝むための礼堂がつくられ、御本尊を守るように龕が建てられ、さらに本堂を広げられて現在の形となったそうです。
石仏龕のすぐ前の床には、黒く平たい「引導石」が置かれます。引導の名の通り、昔はこの上に棺を置いて葬儀を行いました。
現在も骨壺を置いて、法要をすることもあるそうです。いまも変わらなく続く、地蔵菩薩の信仰を感じます。
堂内にはほかにも、仏像や解体修理時に発見された出土品などを陳列。小さな誕生釈迦仏、あまり目にすることがない歓喜天の像、アフロ仏こと五劫思惟阿弥陀仏像もいらっしゃいました。
石造物のある庭園、御縁日には一願不動尊も
本堂の手前側には、池のあるお庭が。季節によって、蓮の花や紅葉も楽しめそうです。
不動明王はじめ、鎌倉時代の石造りが多く見られるのも良き。
とくに建物内に安置される曼荼羅石は、興福寺の諸仏と五重塔を刻み、石造物として残っている唯一のものとか。格子越しでやや見づらいですが、首をのばしてがんばってみました。
本堂の右手奥には御影堂、朝野宿禰魚養の墓と伝わる横穴式石室の魚養塚もあり。
また入り口すぐ左の護摩堂には、一願成就の不動明王立像と二童子像がまつられます。
智証大師円珍の作と伝わりますが、実際には平安時代の仏像で重要文化財指定。ふだんは閉まっていますが、不動明王御縁日の毎月28日には護摩祈祷が行われます。
参拝日はたまたま法要があったそうで、扉が開いていました。巻髪、鳥のような炎の光背が特徴的な像です。
ちょうど2023年の仏像ミニカレンダー10月に掲載。
十輪院、良い御縁がありました!
あわせて行きたい 近くの寺社めぐり
十輪院の西には、足止め狛犬のある御霊神社が鎮座します。
また東向商店街の南都銀行本店前にあるみんなのお寺は、十輪院のお寺です。
御本尊に阿弥陀如来坐像を安置。
ビルの2階にあるので、はじめて入るときは緊張しましたが、御朱印もいただけます。
あわせて、なーむくん記念印も。
一時期せんとくんのライバル的な存在でしたが、元気にやっているのでしょうか…
みたいなゆるい世間話でも、ご住職がやさしく対応してくださいますので、気軽におまいりされてはいかがでしょうか。
写経や瞑想できるスペースもありますよ。
基本情報
雨宝山 十輪院
所在地:奈良県奈良市十輪院町27
拝観時間:9:00~16:30 ※毎週月曜(祝日の場合は翌火曜)は閉門
お盆期間など、時期により拝観できない場合もありますので、くわしくは公式サイトにてご確認ください。
公式サイト:http://www.jurin-in.com/