冬の奈良大和路キャンペーン2022で特別に公開された、ならまちのお寺をめぐってきました。いただいた御朱印も紹介します。
路地ぶら ならまちへ
奈良市観光協会主催の「冬の奈良大和路キャンペーン2022」。ならまちエリアで2022年12月1日~2023年2月28日まで開催されます。
キャンペーンでは元興寺ほか4カ所のお寺で特別御朱印の授与、お店や施設での割引や特典が受けられるなど、さまざまな企画があります。
なかでもわたしが気になったのが、ふだんは予約しないと拝観できないお寺の特別公開。ボランティアガイドの案内が付き、御朱印もいただけるとのこと。
拝観は2023年1月と2月の土日限定。1月公開の寺院へ行ってきましたので、覚え書きもかねて御朱印も紹介します。
法徳寺
十輪院のおとなりにあります。以前、奈良国立博物館で仏像の特別陳列があったので、ご存じのかたも多いのではないでしょうか。
法徳寺はかつては元興寺の子院で、のちに倍巌上人が再興。融通念仏宗の寺になったと伝わります。
境内には本堂、観音堂、毘沙門堂などありますが、今回は本堂と毘沙門堂が公開。
本堂は外陣よりの参拝。御本尊は阿弥陀如来立像です。
おだやかなお顔の仏像は平安時代の作、奈良市指定文化財。台座にある墨書きから、法隆寺より伝わった像ではといわれます。
脇には2体の薬師如来坐像なども安置。こちらはご縁があって薬師寺からいただいたと、ガイドのかたが教えてくださいました。
法徳寺 御本尊の御朱印
毘沙門堂は外通りに面した場所にあります。今回は堂内に上がれましたが、ふたりぐらいが限界の小スペースです。
厨子にまつられる毘沙門天立像は、もとは元興寺にあった像とか。またお寺のとなり町は「毘沙門町」という名で、以前はそちらにお堂があったことに由来。明治初期に法徳寺にうつされたそうです。
堂内には愛染明王像や弁財天像、不動明王、青面金剛と三猿の像なども。
毎年7月15日にお祭りがあり、未確認ですが毘沙門天堂は公開されるとの情報。タイミングあえばまた行ってみたいと思います。
法徳寺 毘沙門天の御朱印
小塔院
御霊神社のとなりに位置します。参拝時は人が多く、堂内の写真も禁止だったので、写真は以前に訪れたときのものをご紹介。
現在のならまちは、かつては元興寺の広大な境内であったといいます。こちらは小塔堂を中心とする小塔院(吉祥堂)があった場所。「元興寺小塔院跡」として、国指定の史跡となっています。
小塔院はいまは真言律宗のお寺で、御本尊に虚空蔵菩薩をまつります。
中央の障子部分が開けられており、堂外から拝観しました。小さなお像ですが、宝冠や光背の造りが細かい。
建物は本堂、通りに面した地蔵堂(?)ともに傷みが見受けられ、少し心配です。
そういえば前に参拝したときは、長い紐につながれた黒猫ちゃんがのんびりしていたのですが、元気にしているかしら。
小塔院の御朱印
小塔院には、現在元興寺(極楽坊)の収蔵庫「法輪館」にある国宝・五重小塔が安置されていたと考えられています。
またこのあとに行ったならまち資料館(元興寺本堂跡)には、「旧元興寺吉祥堂」と記載の大日如来坐像が。仏像がお好きなかたはこちらもどうぞ。
聖光寺
聖光寺(しょうこうじ)は浄土宗のお寺。奈良県内の浄土宗に縁のあるお寺をめぐる、大和二十五霊場の第二十四番札所です。
かつては元興寺塔頭の草庵のひとつであったそう。
境内は門を入って右手に鐘楼と墓地、左手が本堂。堂内に上がって拝観できました。
御本尊は阿弥陀如来立像。整ったお姿に金がうるわしい。
脇の檀にも阿弥陀如来立像が安置されます。こちらが鎌倉時代につくられた仏像で、奈良市指定文化財。
…というのを、帰ってきて調べていまごろ知るわたし。
今回はそれぞれのお寺にガイドのかたがいらっしゃるのですが、タイミングの関係などで説明が聞けないこともあり。逆に貸し切り状態で、がっつりお話できる場所もあります。
聖光寺の御朱印
浄土宗第二祖、聖光上人の墨書き。
西光院
大和北部八十八ヶ所霊場第三番札所。もとは元興寺の子院だったそうですが、現在は華厳宗のお寺です。
白く長い壁が印象的な外観。境内は石碑や小さな鎮守社も。こちらも本堂にあがって拝観できました。
御本尊は弘法大師坐像。鎌倉時代の像で裸でつくられ、衣を着せてまつられています。明るい色の法衣が映えるからか、若々しくも見える像です。
裸形の大師像はとてもめずらしく、ほかには鎌倉の青蓮寺にいらっしゃるのみとのこと。
御本尊の脇には地蔵菩薩半跏像を安置。室町時代に奈良で活躍した宿院仏師の作で、像内の墨書きには源三郎・源次らの名が記されます。どちらの像も奈良市指定文化財です。
また重要文化財の十一面観音立像も所蔵されますが、奈良国立博物館に寄託中。おそらく、なら仏像館で公開されていたはず…うろおぼえなので、また見にいかなければ!
西光院の御朱印
「はつか大師」とは、弘法大師御縁日の21日ではなく、前日の20日に逮夜法要をすることから呼ばれるそうです。
阿弥陀寺
最後に阿弥陀寺にまいります。こちらも元興寺僧の草庵がはじまりと伝わり、現在は浄土宗のお寺です。
今回は左手にある悲田院のみの公開で、写真の中門より先は立ち入り禁止。
ちなみに中央に見える中門は、四脚門に屋根を切妻造ではなく寄棟造がめずらしいもので、奈良県指定有形文化財です。
奈良時代に光明皇后により、興福寺境内に建立された悲田院。近世に阿弥陀寺の専阿上人によって、おとなりの南城戸町で再興。のちに寺内に移されたそうです。
拝観料は500円。御朱印はありませんが、写真撮影はOKでした。
御本尊は左手に阿弥陀如来、右手に薬師如来を持つ…というか、生えてるような三躯一佛観音です。いちど見たら忘れられない造形ですね。
最近修復されたのか、お顔・お体の金泥が目立ちます。仏像の年代や由来などは不明。厨子の内側もたくさんの人物が描かれていて気になったのですが、こちらもよくわからず。
見れば見るほどミステリアスなお像…! 間近で拝観でき、貴重な体験でした。
2月には別のお寺が公開予定とのことで、また拝観したいと思います。