特別展「大安寺のすべて―天平のみほとけと祈り―」は令和4年(2022)6月19日まで。お寺に伝わる仏像も一挙公開です。
大安寺のすべて―天平のみほとけと祈り―
前回の聖林寺展に引き続き、また奈良博の特別展へ行ってきました。
大安寺はJR奈良駅より1キロほど南にあり、現在はがん封じの祈願で有名なお寺です。かつては東大寺や興福寺などとともに、南都七大寺のひとつに数えられる大寺院でした。
展覧会では大安寺がどんなにすごいお寺であったかということを、寺宝の仏像や発掘調査の出土品をはじめ、さまざまな角度からたどっていきます。
個性ある大安寺の仏像
いちばんの見どころは、お寺に伝わる仏像9体がすべて展示されることでしょう。
前期展示の御本尊・十一面観音立像、後期展示の伝馬頭観音立像はともに秘仏。ふだんは期間を限って御開帳されます。
仏像はどれも独特の魅力があり。とくに伝楊柳観音立像は忿怒の表情はじめ、帯や飾りも印象に残ります。
お寺では収蔵庫の仏像は近くで拝観できましたが、御開帳時の御本尊はあまりよく見えなかった記憶が。今回はガラスケースなしで、360度あらゆる角度から見仏。後補の部分との違いもよくわかりました。
やはり奈良博の特別展は見逃せませんね。
特別展 #大安寺のすべて #奈良国立博物館
— NHK奈良放送局 (@nhk_nara) April 28, 2022
今日から宝物をシリーズで紹介します!#重要文化財 #十一面観音立像 #奈良 #大安寺本堂秘仏本尊https://t.co/l2rTqRUfuP pic.twitter.com/5HLkbFJ1QI
余談ですが四天王像がならんだ光景、ニコニコ美術館では「通勤電車」とコメントされていて吹きました。…わかる!
仏像とあわせて、発掘調査の出土品も展示。建物の装飾品は部分的とはいえ、どれも大きなものばかりです。当時のお寺のスケール感よ…
陶枕片はスタンプ模様がバリエーション豊か。モダンにも見えるデザインは女子が好きそうなので、もっとグッズ展開してほしいなぁ。
失われた御本尊・釈迦如来像に迫る
大安寺の現在の御本尊は十一面観音立像ですが、かつては釈迦如来像であったと伝わります。
「人でないものがつくり、天女もほめた」と記録される仏像ですが、残念ながら摸刻も残っていません。
特別展の後半は、御本尊がどんな姿であったかに迫っていきます。
刺繍の釈迦如来説法図は何度みても良き。大安寺の釈迦如来像もこんな姿だった…?
(以前の特別展「奈良博三昧」では撮影可能でした)
さらに大安寺をめぐる人々や信仰、その後の中世以降の歴史を追います。
わたしはどうしても彫刻中心に見てしまうのですが、表情や技法にも特徴ある行教律師坐像、京博でおなじみの宝誌和尚立像はやはりインパクト強い。
個人的には奈良・薬師寺の休ヶ岡八幡宮の八幡三神坐像は見たことがなかったので、展示はうれしかったです。
休ヶ岡八幡宮
いまはもう失われた仏像やお寺の姿を想像するのに、ここまで集めましたか!…という感想の大安寺特別展。
考えあらたに、またお寺におまいりにいこうと思います。
基本情報
大安寺のすべて 天平のみほとけと祈り
会期:令和4年(2022)4/23~6/19
会場:奈良国立博物館
開館時間:9:30~17:00(4/29~5/7は19:00まで)
公式サイト:https://www.narahaku.go.jp/exhibition/special/special_exhibition/202204_daianji/