奈良博所蔵の仏教美術コレクションから、選りすぐりの名品を展示。なんと写真撮影もOKなんです!
特別展「奈良博三昧」
長い梅雨がようやく明けたと思ったら、猛烈な暑さになりました。汗をかきながら寺社をめぐるのも悪くないですが、気になっていた特別展へ行ってみることにしました。
開催前よりポップなビジュアル広告が話題となっていたこちらの展覧会。
奈良国立博物館のコレクションより、仏像・仏画・古写経や仏教工芸などの名品が惜しみなく展示されるとのこと。その数、なんと246件!
国宝13件、重要文化財100件が含まれるという、奈良博渾身のラインナップです。しかも写真撮影・SNS公開もOKという太っ腹! ありがたい…!
フラッシュや三脚の禁止・動画撮影はNGなど、注意点については以下の公式サイトでご確認ください。
特別展「奈良博三昧―至高の仏教美術コレクション―」では写真撮影が可能です | 奈良国立博物館
奈良国立博物館へ
奈良国立博物館は、明治二十八年(1895)の開館。奈良公園内にあり、東大寺・興福寺などの寺社にも近い場所です。
近代建築の雰囲気ある建物は「旧帝国奈良博物館本館」。現在は「なら仏像館」として、常時仏像が展示されています。
奈良博三昧が開催されているのは、なら仏像館の東側にある建物、「東新館」と「西新館」です。
今回の特別展は日時指定券はなし。思い立った日にち・時間で入ることができるのがいいですね。
入場料は一般1500円(高大生1000円、小中生500円)です。
展示品をより知りたいかたは、音声ガイドを借りるのもおすすめ。ナビゲーターは声優の斉藤壮馬さんと西山宏太朗さん。わたしはくわしくないのですが、人気の声優さんだそうですね。
音声ガイドは有料、お一人様1台600円です。
ではさっそく展示室へ!
仏像・神像の数々
見仏好きのわたし、まずは仏像・神像彫刻からとくに気になったものをご紹介。
薬師如来坐像
国立の博物館所蔵では、唯一の国宝指定の仏像。もとは京都・若王子神社の神像とのこと。
頭の盛り上り、耳や螺髪も大きい。厚いまぶた、お顔のパーツがやや中心寄り、横から見るとほっぺたがふっくらとかわいらしくも見えます。
お背中まで、ぐるりとまわって見れるんですよ~。
如意輪観音坐像
どっしり重厚感あり。だけどちょっとなまめかしくも?
つながった眉や切れ長の目が印象的です。
力士立像
広がる髭や表情、アイーンのポーズもおもしろい。
愛染明王坐像
東大寺大仏殿正面の取替柱を用いて造られたと記されます。それほど大きさのない像ですが、彫りも意匠もこまやか。台座も素敵。
兜跋毘沙門天立像
厳しいお顔、引き締まった腰つきもかっこいい! 兜跋毘沙門天には、すすんで睨まれるポジションにいきます。
足の下では地天女・二鬼さんががんばってます。
女神坐像
檜の木目が引き立つお顔、良き。
伽藍神立像
疾走感ある表現。禅宗の寺院などにまつられる像で、釘と槌を持ち、修行を怠ける者をこらしめる神という…。
このお顔、本気だ…!
仏画などの絵画も
十一面観音像
国宝指定の平安仏画。これすごくみたかった絵画!
薄い桃色肌の表現、截金も残って美しい。頭上の十一面の濃い表情もいいですね。
地獄草紙
七つの地獄が描かれます。第一段は糞屎泥地獄…いやもう、最初からすさまじい地獄! 虫がギャー!(日本語…)
泣不動縁起
身代わりに素直に縛られる不動、安倍晴明の前にちんまり座る疫神、かわいすぎやしませんか…。
胎蔵図像
東大寺戒壇院厨子扉絵図像
墨書きだけでもうずっと見ていられる。
書跡・古写経もすごい
金光明最勝王経
当時最高級の紫の紙に、金字がいまもきらきらと。
最澄筆 尺牘(久隔帖)
空海のもとにいた弟子・泰範に宛てた書状。「久隔清音」の書き出しから「久隔帖」。
最澄の人柄までも伝わってくるような、心遣いのお手紙。…これほんとうに撮っていいんですか…すごくないか…。
日本書紀 巻第十残巻
現存する最古の写本。…これほんとうに(以下略)
そのほか工芸品も
牛皮華鬘
牛皮製の荘厳具。やわらかい線の筆使いが好き。
刺繍釈迦如来説法図
たった2種類の刺繍法だけで、ここまで繊細な表現が。
傷みもありますが、よくぞ現在まで残してくださったものです…。
ほかにも続々と名品が。
じっくり見て、グッときたところを撮っていたら、あっという間に時間とカメラのバッテリーがなくなってしまいました。
作品にはかんたんな説明が付き、ところどころキャラクター入りの解説パネルも。観覧者を選ばない工夫を感じます。夏休みの家族連れにも、気軽に楽しめるのではないでしょうか。
前期と後期、入れ替えもあるのでご注意を。後期も行きたいな~! 辟邪絵! 矢田地蔵縁起! 空海筆の書跡!
さらに仏像館で仏像にまみれる
特別展の観覧券で、なら仏像館も観れます。新館とは地下回廊でつながっています。
こちら通常は写真撮影禁止ですが、青銅器館の展示品と、現在特別公開されている金峯山寺仁王門の金剛力士立像のみ撮影OKです。
大きい! 迫力ありますね!
どうやってこの場所に入れたのだろう…と思っていたら、公式動画がありました。
あわせてどうぞ、ご堪能ください。
基本情報
奈良博三昧
会期:令和3年(2021)7/17~9/12
(前期:7/17~8/15、後期8/17~9/12)
会場:奈良国立博物館 東・西新館
休館日:毎週月曜日(※8/9は開館)
開館時間:9:30~18:00(毎週土曜日は~19:00)