聖徳太子1400年御聖忌記念の展覧会へ行ってきました。四天王寺所蔵の宝物から「日出処の天子」原画まで、バラエティ豊かな特別展です。
千四百年御聖忌記念特別展「聖徳太子」
令和三年(2021)は聖徳太子がご薨去されて1400年の御遠忌。節目の年をむかえ、太子ゆかりの寺院では大規模な行事・法要が行われます。
あわせて記念の展覧会も各地で開催。
奈良博で行われた「聖徳太子と法隆寺」展には、前期・後期とも行ってしまいました。
今回、大阪市立美術館で開催される特別展は、大阪・四天王寺の所蔵品を中心に展示とのこと。
前期展示のおわりに行ってまいりましたので、覚え書きもかねてご紹介します。
大阪市立美術館へ
天王寺公園の一角にある大阪市立美術館は、昭和十一年(1936)の開館。有形文化財にも登録される建物は、歴史を感じるモダンな造りです。
吹き抜けのエントランスホール。豪華なシャンデリアも素敵。
特別展は3会場に分かれて展示されます。コインロッカーは第1会場の入り口にありました。コインが戻ってくるタイプなのはありがたい。
音声ガイドは声優の鳥海浩輔さんです。最近のガイドは人気声優さんが担当されることも多く、ファンのかたはうれしいですよね。貸出料金は、1台600円です。
太子信仰をめぐる展覧会
展覧会は5章で構成。まずは聖徳太子の一生について、くわしく紹介されます。
聖徳太子の生涯をたどる
第1章で大掛かりに展示されるのが、太子の事跡を絵で描いた聖徳太子絵伝。さまざまな時代に描かれた絵伝が一挙に並びます。
絵伝は年代順に描かれているわけではなく、1面のなかでも出来事がバラバラ。絵と解説を交互に追いながらレベルのわたしですが、さすがにこれだけの数を見ていくと、次第に有名な場面はわかるように。
愛馬の黒駒に乗って富士山頂まで飛ぶ太子、東漢直駒(やまとのあやのあたいこま)が殺されるところ、法隆寺五重塔より並んで昇天する王子たち…などなど。絵伝ごとの違いを見るのもおもしろいですね。
聖徳太子絵伝とは太子の生涯を描いた絵です。
— 大阪市立美術館|聖徳太子 日出づる処の天子(9/4〜10/24) (@ocmfa_since1936) September 30, 2021
こちらは絵巻タイプの絵伝。ここでは妻となる少女・膳菩岐々郎女との出会いを情感たっぷりに描いています。
池のほとりで芹を摘む少女と見つめる太子…それはまるで少女マンガのワンシーン。キラキラ金装飾が場面を盛り上げます#聖徳太子展#運命の出会い pic.twitter.com/bzVuDxlK2l
見どころはほかにも、太子の佩刀と伝えられる国宝・丙子椒林剣(へいししょうりんけん)、七星剣の写しなども。刀剣好きのかたは必見です。
さまざまな太子像・四天王寺の宝物
第2章からは聖徳太子像が目白押し。これでもか! と、仏像・絵画にまみれます。かつてこれだけの太子像を一気に見たことがあったかしら…
二歳像・童形像など、同じ形式でもそれぞれ個性があります。どれもちがって、どれもいい!
なかでも道明寺の聖徳太子童形立像。お寺でお会いしたこともありますが、ひそかに「体育会系太子」と呼んでいます…
道明寺
続く第3章は、四天王寺の名宝の数々を展示。
とくにわたしが見たかったのは、四天王寺縁起(根本本)です。お寺の歴史をはじめ、寺宝などが記されるもので、文字の上に手形がうっすらと押されています。
四天王寺では聖徳太子御手印として伝わっているとのこと。思わず自分の手をかざして比べてしまったり。
四天王寺
こちらの根本本は御聖忌を記念して、数量限定で複製本が販売されるそうです。なにそれ欲しい! と調べたら、30万円ですって…ひえー。
根本本の展示は前期のみ。後期は後醍醐天皇の自筆・手形が押された後醍醐天皇宸翰本が展示されます。こちらもぜひ比べてみたい…
太子信仰の広がり
第4章では聖徳太子の御廟のある大阪・叡福寺をはじめ、ゆかりのお寺に伝わる絵図や像などを。
叡福寺
会場案内にもあった馬上太子像は叡福寺のものです(前期展示)。ポストカードも買っちゃった。
また野中寺の弥勒菩薩半跏像は、制作年代のわかる弥勒像として貴重なもの。毎月18日のみ御開帳される仏像です。
わたしがいままでお寺で見仏したなかでいちばん近く、のぞきこむように拝した仏様。久々にお会いしたので、そっと手をあわせてごあいさつ。
野中寺
最後の5章では、近代以降の聖徳太子の伝わりをたどります。
いちばん引きつけられたのは、山岸凉子作「日出処の天子」の原画です。 墨が濃く、美しいカラー、繊細な線と点描に思わずため息が。
厩戸王子の超能力設定に初見は驚いたことを思い出しましたが、絵伝でも富士山飛んで行ったりしてるもんね…漫画読み返したくなりました。ちょうど今月から、電子書籍版が出るそうですよ。
展覧会の締めくくりは、四天王寺聖霊会を再現。
後ほど時間あれば四天王寺におまいりを、と考えてましたが到底無理でした。お寺拝観は後日にします。
ボリュームたっぷりの記念特別展、どうぞ時間に余裕をもっておまわりくださいませ。
基本情報
千四百年御聖忌記念特別展「聖徳太子 日出づる処の天子」
会期:令和三年(2021)9/4~10/24
(前期:9/4~9/26、後期:9/28~10/24)
会場:大阪市立美術館
開館時間:9:30~17:00(月曜休館)