大阪の堺市に鎮座する萩原神社。通称「萩原天神」では、梅花祭にあわせて木うそが頒布されます。大きさ・形もさまざま、個性豊かな木彫りの授与品をいただきました。
萩原神社の御朱印
拝殿の左側にある授与所でいただきました。
以前うかがったときは人がいらっしゃらなかったので、正面参道右手にあるもうひとつの授与所のベルを鳴らしてお願いしました。
梅の形をした参拝印は、表参道入口の石柱としめ縄がデザインされています。この石柱は昭和天皇ご成婚記念に建てられたそうですよ。
萩原神社の見どころ
萩原神社、またの呼び名は萩原天神。大阪から和歌山・高野山へつながる南海電鉄高野線の駅名にもなっています。略して「はぎてん」。南大阪住みのわたしにとっては、名前は知っているけれど降りる機会のない駅のひとつでした。
電車を降りて西側を見ると、すぐ鳥居が見えます。駅近! 方向音痴のわたしでも、こちらは大丈夫!
車で参拝する場合は境内に駐車スペースがありましたので、この参道から直接入ってよさそうです。
両脇には梅の花が咲き、ほのかによい香り。
参拝は2月25日、菅原道真公が一生を終えられた日。毎年この縁日に萩原神社では梅花祭が執り行われ、木うそが授与いただけます。
天神信仰の神社
奈良時代、神社のあった辺りは僧・行基の開基と伝わる「萩原寺」があり、古くから信仰を集める場所でした。
萩原神社の主祭神は、菅原道真公と天穂日命(あめのほひのみこと)。創建の年代はくわしくはわからないそうですが、天穂日命、天櫛玉命(あめのくしたまのみこと)、素戔嗚尊(すさのおのみこと)の三柱をまつり「萩原山日置天神」と称したのがはじまりと伝わります。
昔の人々は雨を降らす雷を天神として崇めていました。この農耕神としての信仰が、もともとのかたちとしてあったようです。
社伝によると天徳三年(959)、菅原道真公を末社にまつります。これが萩原天神の信仰のはじまりとされます。
菅原道真公とともにまつられる天穂日命は、埴輪や土師器の制作に携わった土師氏の祖神。道真公は土師氏の子孫にあたります。
道真公と神使いの鷽(ウソ)
現在の社殿は平成三年(1991)に造られたものとのこと。本殿拝殿一体型の権現造です。
境内は開放感あり。梅や花壇の草花も美しく、きれいに清められています。
参拝は午後。混み合うことはありませんでしたが、ちらほらと絶え間なくおまいりに来られます。
この日は気候もよく、梅の花も見頃。参拝日和でした。
拝殿前には大きな木彫りの鷽。くちばしがハートマークのようでかわいいですね。鷽鳥は天神・菅原道真公の使いといわれます。
スズメよりちょっと大きいぐらいのサイズの鳥・ウソ。灰色の身体に黒の頭と翼・尾、オスはくちばしの下・ほっぺたの橙赤色が目立ちます。
口笛のような鳴き声をすることから、口笛を意味する古語「うそ」と名付けられました。
(地味にバードウォッチャーのわたし、さらりと撮影写真を貼り付けたかったのですが、まだお目にかかったことがないのでフリー画像です。かわいいのう…)
天神様の神使いとされる理由は諸説ありますが、「太宰府で道真公が蜂の大群に襲われたとき、ウソの群れが現れて救った」話が伝わります。
ウソという呼び名が「噓」に通じることから、天満宮・天神社では災厄を「噓」に替えて福を招く、鷽替え神事が行われるようになりました。
鷽替え神事は神社によって日にちや形式もさまざま。太宰府天満宮では毎年1月7日、木彫りの鷽・木うそを参拝者同士で交換し、取り替えます。
日にちを決めて、木うそを頒布するところも多いですね。神社によって木うその大きさや形も違うのも、おもしろいです。
こちら萩原神社の木うそは、毎年2月25日より授与。大きさは小サイズから特大サイズまで、自然の木の形を生かした個性ある木うそが特徴です。平成三十年(2018)の台風により被災した、境内の御神木を用いてつくられました。
なかには枝分かれして、複数の鷽がいる木うそも。でもどれもちゃんと立つのですよね。頭は金色、下側にはその年の干支が記されており、見えないところまでつくりがていねいです。
他の参拝者さんと「どれにしようか迷う~」と言葉をかわしながら、今年は中サイズの木うそをいただきました。
ちなみに去年は小サイズでした。毎年ひとつずつ、サイズを変えていただこうかしら…。いつか特大のものをいただいてみたいですね!
梅が咲いている時期は、開運厄除け護符もいただけます。
コロナ禍のいまは疫病退散・アマビエ護符や蘇民将来お守りもあり。こちらは限定数ですが、通年いただけるようです。
境内社・梅園
本殿の左手には結婚式などにつかわれる参集殿。その並びには稲荷社・荒神・戎神社が鎮座します。
さらに奥には梅園が広がっています。
木との距離も近く、白・ピンクの花の重なりがきれい。
かわって反対側、本殿の右手には旧本殿が保存されています。損傷はありますが、約350年前のもので桃山様式の造りを残します。
また奥には塞の神(道祖神)がまつられます。
あわせて行きたい 沿線の寺社めぐり
萩原天神駅より南へ4駅先、金剛駅最寄りの狭山神社もあわせておすすめ。
二座の式内社が鎮座する、由緒ある神社です。
また住吉東駅からは摂津国一之宮・住吉大社も近く、歩いて行くことができます。
基本情報
萩原神社(萩原天神)
所在地:大阪府堺市東区日置荘原寺町75-1
拝観時間:不明
公式サイト:http://www.hagi10.sakura.ne.jp/