奈良・葛城にある當麻寺。東西に三重塔が並び、古来の伽藍が残ります。中将姫の伝説で有名な當麻曼荼羅のほか、貴重な仏像も拝観できます。
(2023-04-20 更新)
當麻寺の御朱印
通常の御朱印
御本尊・當麻曼荼羅の御朱印です。
御詠歌も受けられます。
本堂(曼荼羅堂)は真言宗と浄土宗の塔頭寺院で管理されており、そのとき担当のお寺の宗派によって「曼陀羅」or「曼荼羅」と墨書きが違うそうです。
授与所の情報
御朱印は本堂内にある授与所でいただきました。
本堂内陣におまいりするときは拝観料を納め、先に御朱印帳を預けるとスムーズです。
當麻寺の御朱印帳
参拝の記念に、當麻曼荼羅の図柄をあしらった御朱印帳をいただくのもおすすめです。
こちらは當麻寺奥院の御朱印帳。
金と銀の2種類あり、繊細に曼荼羅が表現されています。紙質もよく、人気の御朱印帳です。
當麻寺中之坊の新しい御朱印帳。やわらかい絵柄と色合いがすてきですね。
御朱印帳はそのほかにも種類があり、塔頭寺院の授与所で受けられます。それぞれ本堂を担当されるときは、本堂授与所でも扱われている場合があります。
當麻寺とは どんなお寺?
御本尊:當麻曼荼羅
推古天皇二十年(612)に用明天皇の皇子・麻呂子親王(當麻皇子)が、兄・聖徳太子の教えにより河内国に建立した「萬法蔵院禅林寺」がはじまりと伝わります。
のちに親王の孫である當麻国見が現在地に遷し、金堂や講堂、東西両塔などの伽藍をつくり、寺号を「當麻寺」と改めました。
創建当時は南都六宗のひとつである三論宗でしたが、現在は高野山真言宗と浄土宗で護持されます。
ここが良き! 當麻寺のおすすめの見どころ
當麻寺の最寄り駅は、近鉄・当麻寺駅。歩いて15分ほどの場所にあります。
車の場合は入り口・仁王門の手前に有料の駐車場が、少し離れますが當麻寺交差点南東にも観光駐車場があります。
門を守る仁王の阿形像は現在、なら歴史芸術文化村で修復中です。運が良ければ、修復中のお姿が見学できるかも?
極楽浄土が描かれる御本尊・當麻曼荼羅
正面に見える建物が本堂、むかって左側が金堂、右側が講堂です。
本堂の内陣・金堂・講堂の内部拝観は、拝観料が必要です。最初に本堂にて大人500円(小学生250円)を納めます。
御本尊の絹本著色浄土曼荼羅掛幅には、阿弥陀如来のいる極楽浄土の世界が描かれています。
もととなったのは奈良時代につくられた綴織當麻曼荼羅(根本曼荼羅)と呼ばれる織物。文亀二年(1502)にそれを写したものが、現在まつられている文亀本當麻曼荼羅です。
大きな厨子が安置される須弥壇は、源頼朝らの寄進。螺鈿の飾りも美しく残ります。触れられそうな近さまで拝観できるのがうれしい。
綴織當麻曼荼羅(非公開)、本堂、厨子は国宝。文亀本は重要文化財です。
堂内には弘法大師が21日間こもられたと伝わる「弘法大師参籠の間」、平安時代につくられた十一面観音菩薩像、中将姫二十九才像などもまつられます。
仏像好き必見! 金堂・講堂をめぐる
金堂の御本尊は弥勒仏坐像。白鳳時代につくられた塑像で、国宝に指定されます。素朴なお顔、がっしりとした体つきが特徴あります。
お寺は金堂を中心に伽藍がつくられ、曼荼羅堂が本堂となる以前はこのお像が御本尊だったそうです。
四方を守るのは四天王立像。持国天・増長天・広目天の3体は脱活乾漆像として日本最古例、多聞天は鎌倉時代の木像です。
ひげをたくわえたダンディーな顔立ち。異国風の衣装を身に着け、すっと立つ姿が凛々しいイケオジです。
対する講堂の御本尊は、丈六の阿弥陀如来坐像。平安時代につくられ、定朝様式の安らかなお顔は京都らしさも感じます。
並んで地蔵菩薩像や千手観音像、不動明王など、平安~鎌倉時代の仏像が安置されます。なかでも妙幢(みょうどう)菩薩像は地蔵菩薩の古名のひとつで、めずらしいものだとか。
金堂・講堂ともに古くから残る仏像が拝観でき、何度訪れても見仏好きにはたまらんお寺です。
見逃しがちですが、金堂の南に立つ石灯籠(手前の灯籠ではなく、奥側のほう)は、白鳳時代の製作で重要文化財。
梵鐘も白鳳期の名鐘で、国宝です。
東西の国宝三重塔
當麻寺は東西に三重塔があります。現在も両方の塔が残る伽藍としては、もっとも古いものだそう。
東塔は奈良時代に、西塔は平安時代に建てられたものといいます。どちらも国宝、境内の高台にあるのがめずらしい。
つくられた時代が違うので、同じ三重の塔でも少々違いがあります。
わたしの撮影写真ではわかりにくいのですが、東塔は初層にくらべ、上に行くほどやや小さくなる姿が優美。
対して西塔は、ほぼ同じ大きさで建ち、安定感があります。
中将姫の信仰と物語
當麻寺の御本尊・當麻曼荼羅には、中将姫という女性の話が伝わります。
中将姫は藤原豊成の娘として、奈良の都で生まれました。幼少のころから観音様への信心深い姫でしたが、継母にねたまれ、都を離れて隠棲されます。
のちに都に戻られましたが、阿弥陀仏の導きにより當麻寺で出家されました。
當麻曼荼羅は中将姫の願いによってつくられたものといいます。
『武者鑑 一名人相合』 出典:国立国会図書館ウェブサイト
中将姫のまえにあらわれた阿弥陀如来と観音菩薩の化身は五色の蓮糸を使い、一夜で曼荼羅を織りあげたそう。
毎年4月14日には、中将姫の命日法要である練供養会式(ねりくようえしき)が開かれます。
25の面をかぶった菩薩たちが、姫を極楽浄土へ迎えにこられる當麻寺最大の行事です。
當麻寺の塔頭・中之坊には、中将姫の守り本尊「導き観音」、姫の足跡が刻まれた「中将姫誓いの石」なども伝わります。
當麻曼荼羅とあわせて、中将姫の伝説をたどるのもおすすめです。
あわせて行きたい 當麻寺の塔頭
當麻寺の境内には中之坊・奥院・護念院・西南院をはじめ、多くの塔頭寺院が並びます。それぞれの場所で御朱印もいただけます。
仏像や庭園の拝観のほか、写経・写仏体験ができるところもあり。とくに春は、牡丹の花咲くお庭が人気です。
當麻寺の基本情報
所在地:奈良県葛城市當麻1263
拝観時間:9:00〜17:00
拝観料:大人500円
駐車場:あり(有料)
公式サイト:
https://www.taimadera.org/(中之坊)
https://www.taimadera.net/(奥院)
https://taimadera-gonenin.or.jp/(護念院)
https://taimadera-sainain.or.jp/(西南院)
実際に参拝した日(2022-07-30)の情報をもとに、記事を作成しています。定期的に情報を確認し更新していますが、最新情報と異なる場合があります。