花鳥参拝帖

参拝した寺社の見どころや御朱印・おみくじの紹介

瀧尾神社【見どころと御朱印】神社を守る 木彫りの天井龍

京都の瀧尾神社

京都東山、東福寺駅近くに鎮座する瀧尾神社。拝殿の天井には巨大な龍が! 祇園祭・大船鉾の船首モデルにもなりました。

(2021-12-9 更新)

瀧尾神社でいただける御朱印

瀧尾神社の御朱印

京都の瀧尾神社の御朱印

三嶋神社の御朱印

京都の三嶋神社の御朱印

境内にある祈願所・三嶋神社の御朱印も、あわせていただけます。

瀧尾神社の見どころ

10月下旬のある日、JR・京阪の東福寺駅へ降り立ちました。紅葉の時期には多くの乗降客でにぎわう駅ですが、まだ見ごろには早いせいか、人通りも少なめです。

この日いちばんの目的は、泉涌寺の塔頭へ参拝することでした。まずは近くの神社へごあいさつしようと、瀧尾神社へ。

駅からは歩いてすぐの場所にあり、数分で鳥居が見えてきます。

瀧尾神社の鳥居

以前、神社へ参拝したのは平成三十年のこと。そのときの写真があまりなく、再度撮影したいと思っていました。が…

あれ、なんだか雰囲気が違う…?

社殿は足場が組まれ、フェンスで囲まれています。どうやら本殿は改修工事中のようです。

掲示によりますと、しばらくのあいだ本殿より拝殿に神様をお遷し、仮本殿とするとのこと。よりにもよってなタイミングでの参拝となってしまいました。

そんなわけで、紹介する写真は新旧まぜこぜとなっています。ご了承くださいませ。

商売繁盛のご利益

瀧尾神社の正面

瀧尾神社の主祭神は大己貴命(おおむなちのみこと)。あわせて大黒天(大国主命)、弁財天毘沙門天をまつります。

創建や由来はよくわからないそうですが、もとは洛東にあった武鶏社(たけうのやしろ)が応仁の乱で焼失、日吉坂に移転したのちにいまの場所に移られたとのこと。

現在の社殿は江戸時代の後期、京の商人・下村家の寄進によって整備されました。

下村家はいまの大丸を創業した豪商家。創業者・下村彦右衛門が行商のころより、欠かさずおまいりしていた神社だったそうです。その後、大丸が栄えたことから広く崇敬されるようになりました。

神社のご利益は商売繁盛。絵馬舎には当時の大丸の姿でしょうか、にぎわう大店が描かれた絵馬も奉納されています。

拝殿外側にかけられるたくさんの提灯も、いちばんいいポジションは大丸です。

本殿の彫刻・拝殿の龍

瀧尾神社の本殿

下村家によって造られた本殿は、もとは貴船神社の奥院旧殿を移築したもの。境内の建物は拝殿などもあわせて、京都市文化財に指定されています。

重厚な屋根が連なり、金の装飾も美しい。細やかながら、生き生きとした彫刻も見事です。

瀧尾神社の本殿の彫刻

正面は鳳凰、その奥には松に鶴でしょうか。両脇の鳥も、いまにも飛び立ちそうな雰囲気です。

なかでも拝殿の天井にあるは、いちばんの見どころ。現在は仮本殿となり、全体少し見づらくなっていましたので、以前の写真でご紹介。

瀧尾神社の拝殿の天井

天井に張り付くように、ぐるりと長い身体をひねっています。

かっこいい…!

瀧尾神社の拝殿の龍

ぎょろっとした目、大きくうねる髭。頭・身体をおおうウロコはひとつひとつが盛り上がり、躍動感あふれます。

これらの彫刻は江戸時代の後期、九山新太郎によって制作されました。

彫物師・九山家の一派は祇園祭・大船鉾の船首の龍頭も手がけたと伝わり、天井龍はその予備に作られた兄弟龍ではないか考えられています。

大船鉾は禁門の変で焼失してしまいましたが、平成二十八年(2016)龍頭を復元。瀧尾神社の龍を参考に、九山家現在の当主・九山新之丞によって再現されました。

2021/12/9 訂正・追記

龍頭は彫刻家・森哲荘氏が制作。これが縁となり、九山家より許可を得て「九山新之丞」の名跡を継がれました。

祇園祭大船鉾の龍頭

以前、祇園祭で撮影した大船鉾・龍頭の写真です。現在はこの龍頭と御幣、1年ごと交互に掲げているようです。

大船鉾については、こちらの保存会のサイトもご参考までに。

京都・祇園祭「大船鉾」 | 公益財団法人 四条町大船鉾保存会

瀧尾神社では、龍にちなんだ置物型のおみくじも引けますよ。

www.hanatori-sanpai.com

安産・子授けの三嶋神社

瀧尾神社境内の三嶋神社祈願所

本殿にむかって左側には、三嶋神社の祈願所が鎮座します。

三嶋神社の御祭神は大山祇大神(おおやまづみのおおかみ)、天津日高彦火瓊々杵尊(あまつひだかひこほのににぎのみこと)、木之花咲耶姫命(このはなのさくやひめのみこと)。

あらゆる生物の出生・生育・放生を守護するとされ、安産や夫婦和合・子授けのご利益があります。

そのはじまりは平安時代。後白河天皇の中宮・平滋子(建春門院)は皇子に恵まれないことを嘆かれ、三嶋大明神を崇敬されたところ、高倉天皇が誕生。喜ばれた後白河天皇が、摂津国にあった三島鴨神社を山城国に勧請しました。

以来、宮中はじめ一般庶民にも信仰され、現在に至ります。平成に入っては秋篠宮殿下・紀子妃殿下もご参詣されました。

本宮は京都市東山区東大路通東入上馬町3丁目に鎮座。こちらはまだうかがったことがないので、機会をみつけて参拝したいと思います。

神使いのウナギ

さて恒例の(?)絵馬掛けチェックですが、三嶋神社は実におもしろい。

三嶋神社の三匹のウナギの絵馬

ウナギ

三嶋神社の背中合わせのウナギの絵馬

うなぎ

三嶋神社のウナギの絵馬いろいろ

鰻!

さまざまな図柄のウナギ絵馬が奉納されています。三嶋明神の使いは、ウナギなんですね。

神社では毎年10月26日に、鰻放生大祭もおこなわれます。

由緒略記によりますと、摂津国にあった三島鴨神社に水蛇(牟奈岐)が生息。三嶋神社の神池にも多くいたといいます。

妊婦はウナギを食べるのを絶ち、神前に供えて祈願。安産成就のお礼まいり後に、ウナギを食べて身体を回復させたそうです。いまは生きたウナギを供えるかわりに、絵馬を奉納するのですね。

ちなみに3匹の絵馬は、父と母のあいだに子供が生育する姿を表した安産祈願。背中合わせで絡み合う絵馬は夫婦和合を表し、子授け祈願。

そのほかは毎年の放生祭ごとに絵柄が変わるそうです。

瀧尾神社の境内社

境内奥には摂末社が並びます。ひとつ屋根の下に、瀧尾天満宮・金刀比羅宮・大丸繁栄稲荷・愛宕神社の祠。そのとなりには妙見宮も鎮座します。

おまいり後、授与所で御朱印を…と思ったところ、本日不在との張り紙が。折しも参拝は10月27日、放生祭の翌日でした。先に掲載した御朱印は、以前いただいたものです。

余談ですが、こちらの宮司は占い師としても有名なかたとか。御朱印拝受のときは、ちょうど鑑定の最中のようでした。

興味のあるかたは、うかがってみてはいかがでしょうか。

あわせて行きたい 近くの寺社めぐり

瀧尾神社の周辺は東福寺泉涌寺があり、それぞれの塔頭も多く建ち並びます。

また京都三熊野のひとつである新熊野神社、疳封じの剣神社も近く、御朱印もいただけます。

www.hanatori-sanpai.com

参考・このときの参拝ルート

瀧尾神社→剣神社悲田院新善光寺戒光寺法音院→即成院

基本情報

瀧尾神社

所在地:京都府京都市東山区本町11-718
拝観時間:不明
公式サイト:なし